みなさんは「ユニバーサルデザイン」という言葉を聞いたことがありますか? ユニバーサルデザインとは、誰もが使いやすいように工夫されたデザインのことを指します。たとえば、車いすを使っている人、お年寄り、小さな子ども、目が見えにくい人、耳が聞こえにくい人など、いろいろな状況の人たちができるだけ不自由なく使えるように考えられたデザインです。「ユニバーサルデザイン」とは英語で“Universal Design”と書きます。日本語では「みんなのためのデザイン」といったイメージです。このブログ記事では、**「ユニバーサルデザインとは 小学生向け」**というキーワードを中心に、ユニバーサルデザインとは何か、小学生のみなさんにもわかりやすいように具体的な例や大切さを紹介していきます。これを読んで、身の回りのものを見るときに「これはユニバーサルデザインかな?」と考えられるようになってくれたら嬉しいです。
1. ユニバーサルデザインとは何だろう?
ユニバーサルデザインとは、どんな人にも使いやすく、わかりやすく、安全に利用できるように工夫されたデザインや仕組みのことをいいます。ここでいう「どんな人」には、年齢、性別、体格、体の動かしやすさ、障がいの有無など、さまざまな違いをもつ人々が含まれます。「ユニバーサル」という言葉は、「普遍的な」という意味があります。つまり、誰にでも当てはまる、あるいはみんなが使える、という考え方がベースになっているのです。
たとえば、小学生のみなさんでも朝起きてから夜寝るまでの間にたくさんのモノや場所を使いますよね。学校の椅子、教科書、筆箱、家のドア、冷蔵庫、テレビ、トイレなど、身の回りにはいろいろなものがあります。もしこれらが大人だけの都合で作られていたら、小さな子どもにとっては使いにくいかもしれません。あるいは、視力が弱い人や足が不自由な人には危ないこともあるかもしれません。そこで、あらゆる人がなるべく平等に使えるように考えられたデザインこそが、ユニバーサルデザインの考え方なのです。
2. ユニバーサルデザインが大切な理由
ユニバーサルデザインが大切にされるようになったのは、社会の中には色々な人がいて、みんなが安心・安全・快適に暮らすためには特別な工夫が必要だとわかってきたからです。ここでは、ユニバーサルデザインの大切さをいくつかのポイントに分けて説明します。
- みんなが使いやすい
たとえばドアひとつとっても、重すぎるドアや取っ手が高い位置にあるドアは、小学生や力の弱いお年寄りには開けにくいです。しかし、軽く開くドアや自動ドアであれば、小さな子どもから車いすを利用する人まで誰でも簡単に通れます。ユニバーサルデザインはこうした「みんなが同じように使える仕組み」を目指します。 - 安全性の向上
階段の段差が低かったり、手すりがついていたり、バリアフリーのスロープがあったりすると、足元がふらつきやすい人や車いすの人でも転びにくく、ケガをしにくくなります。ユニバーサルデザインは、いろいろな人が安全に暮らせるように考えることでもあるのです。 - 誰もがストレスなく生活できる
遠いところまで行かなくても利用できるトイレ、文字が大きく書いてある案内板、わかりやすいマークなどは、使う人が悩んだり困ったりする時間を減らしてくれます。特に、外国から来た人や日本語が苦手な人にもイラストやピクトグラム(トイレのマークなどのシンプルな絵)でわかりやすく案内すれば、言葉が通じなくても迷いにくくなりますよね。 - 共に助け合う社会をつくる
ユニバーサルデザインは、障がいのある人だけに特別な設備を設ければ良い、という考え方とは違います。みんなが共通して使いやすいように配慮することで、社会全体がより優しくなるのです。こうした社会の仕組みづくりによって、私たちはお互いを理解し、助け合いながら暮らす道を見つけやすくなります。
3. ユニバーサルデザインの身近な例
「ユニバーサルデザインとは 小学生向け」に解説するときには、身近にある具体例をあげると分かりやすいですよね。毎日の生活や学校の中など、私たちのまわりにもユニバーサルデザインはたくさん存在します。
3-1. バスや電車などの乗りもの
- 床との段差が少ないバス
ノンステップバスという名前を聞いたことがあるでしょうか。入口が低く、車いすやベビーカーを使っている人が乗りやすいように作られています。 - 優先席や多目的トイレ
電車内には、体調のすぐれない人やお年寄り、障がいのある人が安心して座れる優先席があります。また駅には広い多目的トイレが用意されていることが多いです。
3-2. 建物の入口や廊下
- スロープ付きの入口
段差をのぼれない人も安心して入れるように、建物の入口にスロープが設置されています。小学生のみなさんにとっても、足をケガしたときなどには助かります。 - 自動ドア
手で開けるのが難しい人でも通りやすいように、自動で開くドアが普及しています。荷物をたくさん持っているときなどにも便利ですよね。
3-3. 文字やデザインの工夫
- 点字ブロック
駅のホームや歩道にある、黄色い「線」や「凸凹(でこぼこ)」のブロックです。視覚に障がいがある人が、足の裏や白杖(はくじょう)と呼ばれる杖で安全に道を確認できるようにつくられています。 - ユニバーサルフォント
読みやすい文字の形をしたフォントがあります。文字と文字の間を広げたり、似ている形の文字を区別しやすくしたりすることで、ディスレクシア(読み書きが困難な学習障害)の人や視力が低い人でも読みやすい工夫がされています。 - 色分けとコントラスト
掲示板やマップは、背景色と文字の色をはっきりさせるなど、色分けやコントラストが明確なデザインが望まれます。誰が見てもわかりやすくするための工夫です。
3-4. 日用品や文房具
- ハサミやカッターナイフ
左利きの人でも使いやすいように、左右どちらの手でも使えるデザインのハサミがあります。 - 鉛筆やペン
握る部分がゴムでできていたり、持つ場所がへこんでいたりして、手が疲れにくいよう工夫されたペンや鉛筆がありますよね。 - マグカップやペットボトル
大きな取っ手がついていたり、持ちやすいようにくびれがついているペットボトルなども、ユニバーサルデザインの考えが生かされています。
4. ユニバーサルデザインの7原則(ややむずかしめ)
ユニバーサルデザインには、「7つの原則」があるとよく言われます。ただ、小学生のみなさんにはちょっとむずかしい表現もあるかもしれません。ここでは簡単に紹介します。
- 公平な利用
どんな人でも不公平なく使えるデザインにしようという考え方です。 - 使う上での自由度
右手でも左手でも使えたり、大きく動かさなくても操作できたりするように、使う方法の選択肢があるデザインです。 - 簡単で直感的に使える
誰が使っても操作や使い方が分かりやすいこと。マークや色分けで分かりやすく工夫するなどが含まれます。 - わかりやすい情報
文字の大きさ、色のコントラスト、音声ガイドなど、様々な方法で必要な情報を伝えられること。 - 間違えにくいデザイン
危険な間違いが起こりにくく、万が一間違っても安全が保たれるようなデザイン。 - 身体的な負担が少ない
重いものを持ち上げなくてすむように工夫したり、なるべく力を使わなくても操作できたりするデザイン。 - 十分な大きさや広さ
車いすやベビーカー、松葉杖を使う人などが通れるような空間の広さを確保すること。
小学生のみなさんがこの7原則のすべてを覚える必要はありませんが、「ユニバーサルデザインは、いろんな状況の人が困らないように作られているんだな」ということを知っておくだけでも十分です。
5. 学校生活とユニバーサルデザイン
実は、学校生活の中でもユニバーサルデザインがたくさん役に立っています。たとえば教室のドアや廊下の広さ、トイレ、さらには体育館の設備や図書館の棚なども、子どもたちが使いやすいように考えられている場合があります。
- 教室の机と椅子
学校の机と椅子は、高さが調整できたり、角が丸く加工されていたりします。身長や座り心地に合わせられると、より安全に学習できるからです。 - 黒板からホワイトボードへの切り替え
最近の学校ではホワイトボードを使うところも増えています。チョークの粉を吸い込みにくいから、健康面でも良いとされています。また、書いた文字がはっきり見えやすいというメリットもあります。 - 色つき下敷きや拡大教科書
見えにくい人や文字が読みにくい人のために、文字を大きく印刷した教科書や色つき下敷きで見やすくする工夫もユニバーサルデザインです。 - 視覚支援のツール
手話や字幕(じまく)を使った動画教材など、耳が聞こえにくい人や発音が難しい人のための支援ツールも登場しています。
こうした工夫は、特定の人だけが助かるわけではなく、多くの子どもたちにとっても便利で学びやすい環境をつくってくれます。ユニバーサルデザインを取り入れることで、学校はよりみんなが通いやすい場所になるのです。
6. ユニバーサルデザインが生む「助け合い」の気持ち
ユニバーサルデザインは、「困っている人を助けるため」にだけあるものではありません。実際には、ちょっとした日常の不便を減らすことで、誰もが少しずつ生活しやすくなるのです。すると、人と人との距離が縮まり、優しい気持ちや助け合いの心が育ちます。
たとえばスロープのある建物では、車いすの人以外にも、足を怪我して松葉杖を使っている人や荷物がたくさんある人、ベビーカーを押している人など、いろいろな人が「楽だな」と感じますよね。これにより「自分だけが特別じゃないんだ、みんなが使いやすい仕組みがここにある」という安心感が生まれます。そうした安心感が、結果的に思いやりのある行動や、助けを求めやすい雰囲気をつくるのです。
学校でも、ユニバーサルデザインを知っていると、「あ、友だちが困ってるな」「この子はこの教科書だと読みやすいかな?」といった気づきが生まれやすくなります。すると、少し声をかけたりフォローしたりできるようになり、友だち同士がお互いを理解し合うきっかけにもなります。
7. ユニバーサルデザインを考えるときのポイント
ユニバーサルデザインをより深く理解するために、日常生活で意識してみると良いポイントを紹介します。小学生のみなさんも、ぜひ周りを観察してみてください。
- 自分が使いにくいと感じたものはないかな?
「ちょっと背伸びしないと届かない」「漢字が小さすぎて読みにくい」など、自分が不便だと思った場所や道具はありませんか? そこにはユニバーサルデザインのヒントがあるかもしれません。 - 友だちや家族、ほかの人が困っていないかな?
たとえばおじいちゃん・おばあちゃんがいる家庭で、玄関に段差がある場合は、スロープをつけるとか、手すりを取り付けるなどの工夫が考えられます。クラスの中でも、目が悪い友だちには文字を大きく書いたり、図解を使ったりすると喜ばれるかもしれません。 - まちや建物をじっくり見てみよう
まちはユニバーサルデザインの宝庫です。駅やスーパー、病院、市役所などに行ったとき、入口や案内板がどうなっているか観察してみてください。点字ブロックや車いす用トイレ、エレベーターのボタンの高さなどをよく見ると、たくさんの工夫に気づくでしょう。 - アイデアを出してみる
「ここに段差があるから、こうすればもっと安全かも」「もう少し文字を大きくすれば、見えにくい人も安心だね」など、自分なりにアイデアを出してみると、ユニバーサルデザインの考え方が身につきます。工作や自由研究にも活かせるかもしれません。
8. ユニバーサルデザインの未来
技術の進歩によって、ユニバーサルデザインはさらに広がりを見せています。近年では、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を使った新しいユニバーサルデザインの形も生まれています。
- 音声アシスタント
スマートスピーカーに話しかけるだけで、天気予報を聞いたり、電気をつけたりできます。文字や手を使わなくても操作できるため、視覚に障がいのある方、手が不自由な方などにも役立ちます。 - 自動翻訳機能
スマートフォンをかざすだけで看板やメニューを翻訳したり、音声を自動で文字起こししてくれるアプリがあります。言葉の壁を減らすことで、外国籍の人もより快適に過ごせるようになります。 - バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)
実際に動けなくても、VRを使って仮想空間で観光を楽しんだり、ARでピクトグラムをかざせば分かりやすいガイドが表示されたりする試みも始まっています。
こうした新しい技術は、ユニバーサルデザインとは 小学生向けの記事のテーマにもある「みんなが使いやすい社会」を作るために、どんどん活用されています。将来は、きっと想像もつかない方法でユニバーサルデザインが進化していくでしょう。
9. 小学生にできるユニバーサルデザインの実践
ユニバーサルデザインを考えるのは、大人だけの仕事ではありません。小学生のみなさんにも、できることがたくさんあります。
- 身近な困りごとを見つけてみる
「クラスの友だちは何に困っているんだろう?」「お年寄りの近所の人はどんなときに苦労しているんだろう?」と、まわりの様子を観察しましょう。気づくことがたくさんあるはずです。 - アイデアを出し合う
学級会や自由研究などの時間に、「こんな道具があったらもっと便利になる」「教室のここに手すりがあれば安心だね」など、友だちと一緒に考えてみましょう。子どもならではのユニークな視点が、新しいユニバーサルデザインを生むかもしれません。 - 相手の気持ちになってみる
目が不自由だったら? 背が小さかったら? 耳が聞こえにくかったら? そうした相手の状況を想像してみることで、見えてくることがあります。相手の気持ちになって考えるのは、ユニバーサルデザインに限らず大切なことです。 - お手伝いをする・助けを求める
ユニバーサルデザインは道具や施設だけではなく、「優しい声かけ」や「助け合いの心」も含まれます。困っている人を見つけたら「大丈夫?」と声をかけたり、自分が困っているときは「助けて」と周りに伝えるのも立派な行動です。
10. まとめ 〜「ユニバーサルデザインとは 小学生向け」によせて〜
ここまで「ユニバーサルデザインとは 小学生向け」というテーマで、ユニバーサルデザインのいろいろな側面を紹介してきました。大切なポイントは以下のとおりです。
- ユニバーサルデザインとは、誰もが使いやすいように工夫されたデザインのこと。
体が不自由な人だけでなく、子どもからお年寄りまで、すべての人の使いやすさを考えている。 - 身近な例は意外とたくさんある。
スロープや自動ドア、点字ブロック、ユニバーサルフォント、ノンステップバスなど、日常生活のあちこちにある。 - ユニバーサルデザインはみんなの幸せにつながる。
使いやすいだけでなく、安全で、そして誰もが少しずつ助け合える仕組みを育てる。 - 小学生でもできることがある。
周りの人の気持ちを想像し、不便なところに気づき、改善策を考えたり、助け合うことは、立派なユニバーサルデザインの一部。
ユニバーサルデザインを知ることで、普段なんとなく見過ごしていた場所や道具も違って見えてくるかもしれません。きっと「このドア、実はユニバーサルデザインかも」とか「コンビニの入り口にはスロープがあって安心だね」といった発見が増えていくでしょう。
そしてユニバーサルデザインは「みんなが同じように」だけでなく、「みんなが自分らしく」生きられるためにも大切な考え方です。いろいろな個性をもつ人がお互いを尊重し合いながら、助け合っていく――そんな社会をつくる大きな力になるのがユニバーサルデザインなのです。
このブログ記事が、少しでもユニバーサルデザインに興味を持ち、周りをよく観察してみよう、アイデアを出してみようと思うきっかけになれば幸いです。小学生のみなさんが将来大人になったとき、より良いアイデアを生かして、より素敵なユニバーサルデザインの世界を広げていってくださいね。
【あとがき】
「ユニバーサルデザインとは 小学生向け」の視点からまとめると、ユニバーサルデザインはけっして難しい特別なものではなく、私たちの身近にあって、それぞれがちょっとした気づきを活かすだけで大きく変わる可能性をもっています。学校でも家でもまちでも、少し想像力を働かせることで「なるほど、こうしたらもっと便利かも」と思えることがきっとあるはずです。
ユニバーサルデザインは、決してひとつの正解だけがあるわけではありません。私たち一人ひとりが持っている発想力や優しさによって、いろいろな形が生まれていきます。そして、そうやって生まれたアイデアが広がれば、みんなにとって住みやすい社会になるのはもちろん、「助け合いの心」がより育つ社会になることでしょう。
これからも、身近なところに目を向けて、どんなユニバーサルデザインが使われているのか観察してみてください。また、新しい技術や考え方がどのようにユニバーサルデザインに活かされていくのかにも注目しながら、ぜひ未来を作っていってくださいね。
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